なぜ今、スポーツアリーナの建設ラッシュが起きているのか

現在、全国で日本プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」が使用するスポーツアリーナの建設が盛んに行われています。 新たなスポーツアリーナが続々と建設されている裏には、一体どんな理由があるのでしょうか。 今回の記事では、スポーツアリーナの建設ラッシュが起きている理由について詳しく解説していきます。 ぜひ最後までご覧ください。

続々と建設されるスポーツアリーナ

現在多くのアリーナが開業または建設途中ですが、まず初めに、開業されたもしくは今後開業予定であるスポーツアリーナをいくつかご紹介していきます。

沖縄アリーナ

沖縄アリーナは、Bリーグ所属クラブ「琉球ゴールデンキングス」がホームアリーナとして使用しており、そのほかにもバレーボールや格闘技などのスポーツイベント、有名アーティストによるコンサートなど様々なイベントを開催しています。
2021年4月におこなわれた琉球ゴールデンキングスのホームゲームを皮切りに、わずか3年目の2023年には来場者数100万人を突破するなど、日本屈指のアリーナとして多くの人が足を運んでいることが分かります。

HAPPINESS ARENA

2024年10月にグランドオープン予定である「長崎スタジアムシティプロジェクト」の一環として建設されたHAPPINESSアリーナは、サッカーの試合が実施予定のスタジアムやショッピングモール、ホテル、オフィスが隣接した大型な施設です。
HAPPINESS ARENAでは「長崎ヴェルカ」のホームゲームをおこなう予定であり、コース料理を楽しみながらバスケの試合を観戦できるVIP BOXやプロの練習風景をガラス越しに見ることができるクラブハウスが併設されています。

GLION ARENA KOBE

2025年に完成を予定しているGLION ARENA KOBEは、「神戸ストークス」のホームゲームのほか、コンサートやスポーツイベントなど多様なイベントの開催が期待されています。
日本初の270度海に囲まれたアリーナであり、アリーナ周辺にもレストランなどの商業施設や劇場型の公園などを設計し、一年中賑わいが感じられるようなエリアを目指していることが大きな特徴です。
このように、特徴的なアリーナが沢山新設されていることが分かります。
上記以外にも数多くのアリーナが建設中・建設予定であり、スポーツアリーナはまさに建設ラッシュと言えるでしょう。

作って起きるメリット

アリーナを建設することで期待されているメリットは、いったいどのようなものなのでしょうか。
大きく分けて2つあります。

①経済面への効果

スポーツの試合やコンサートのイベントが多く行われるスタジアム・アリーナは、定期的に数千人~数万人規模の観客を集めることができる集客力から非常に収益性が高いと思われます。
こうした試合・コンサートなどのイベントによる経済効果の他にも、その周辺の飲食・観光業への経済効果の波及が見込まれています。
また、町の中心となる施設ができることにより雇用機会の創出も期待されることから、スタジアム・アリーナを中心とした経済効果は大きなメリットだということができるでしょう。

②スポーツによる良いまちづくり

スタジアム・アリーナで行われるスポーツには、次のような影響力があると考えられます。

1⃣地域への愛着を形成

近くでスポーツの試合が行われていることから、地域のスポーツへの関心を高めると同時にアリーナに足を運んでもらいやすくなります。
その結果、同じチームを応援しているという地元の一体感や愛着が増します。

2⃣スポーツ機会の増加

身近なスポーツチームの存在によりスポーツへの関心が増すほか、スポーツチームと地域が協力することで、スポーツイベントなどが実施されるようになります。
結果として、地域住民のスポーツ機会が増加し、町全体での健康増進が期待されます。

3⃣地域の社会課題の解決

現在多くのスポーツチームが社会貢献活動をおこなっています。
特にBリーグでは、「B.LEAGUE Hope」という活動をおこなっており、環境・貧困・ジェンダーなどの社会問題に積極的に取り組んでいます。
こうしたスポーツチームが行う社会貢献活動により、社会問題や被災地復興などの様々な社会課題を解決することが期待されています。

なぜ建設ラッシュが起きているのか

ではいったいなぜ、スポーツアリーナは数多く建設されようとしているのでしょうか。

国が考える「アリーナ政策」

スポーツアリーナの建設ラッシュには、実は国が行う政策が関係しています。

経済産業省が公表している「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック<第2版>」には、以下のような記載があります。
スタジアム・アリーナは、スポーツ産業の持つ成長性を取り込みつつ、その潜在力を最大限に発揮し、飲食・宿泊、観光等を巻き込んで、地域活性化の起爆剤となることが期待されている。

野球やサッカー、バスケなどが行われるスタジアム・アリーナは、定期的に数千人~数万人を集客できる施設となります。
そのため、地域経済の活性化をはかり、国が交付金を出しているのです。

また、現在多くの体育館・アリーナで老朽化が進んでいます。
老朽化したアリーナを新しくしたいという思いや、新たな防災拠点の作成地域発展を目指す自治体も、新アリーナの建設を望んでいることが分かります。

Bリーグクラブからみる建設したい理由

新アリーナをつくりたいと願うのは、国や地域だけではありません。
Bリーグに所属しているクラブも、新アリーナ建設に向けて動きを見せています。

皆様は、「B革新」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
Bリーグは2024年現在、B1・B2・B3の3部制に分かれており、単年度競技成績をもとにしたB1/B2、B2/B3の昇降格制度を採用しています。
しかしこの昇降格制度があるために、チーム投資優先で事業投資がおろそかになってしまうチームが存在します。
クラブと地域が互いに支えあえる関係を目指すために、Bリーグは2026-2027年シーズンより新しい制度を導入します。

この改革こそがB革新です。
現在の昇降格制度を廃止し、新たな最上位リーグを「B.LEAGUE PREMIER」(以下:Bプレミア)とします。
一度Bプレミアへの参入を果たしたチームは、その後、競技成績を理由に降格することはなくなります。

多くのチームがBプレミア参入を目指して活動していくと考えられますが、その参入条件の一つに、「Bプレミアが定める基準を満たしたアリーナ」があります。
座席数や設備を満たしたアリーナを必要日数分確保できていないと、クラブはBプレミアに参加することができないということになっているのです。

B革新は、多くのクラブが新設アリーナを持つきっかけになっているということができます。

以上より、新設スタジアム・アリーナの持つメリットに期待する国や地域と、Bプレミア参入に向けて新たなアリーナをホームにしたいBリーグ所属クラブのニーズが一致して、スポーツアリーナの建設ラッシュが起きているということができるでしょう。

おわりに

スポーツアリーナの建設ラッシュが起きているメリットや理由について、理解を深めていただけたでしょうか。
新設スポーツアリーナは、国や地域、日本のスポーツをより盛り上げていく要因になると考えられます。
今後の動きにもぜひ注目していきましょう。
当サイトでは、他にもスポーツビジネスに関する様々な記事を掲載していますので、ぜひそちらも併せてご覧ください。

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