【最先端】スポーツビジネス×テクノロジーの謎に迫る

近年、スポーツビジネスの現場において「テクノロジー」の活用が注目されています。 web3やメタバース等の新時代のテクノロジーとスポーツは、親和性が非常に高く、その活用に大きな期待が高まっています。 スポーツに携わる人なら、「スポーツテック」という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。 今後のスポーツ業界の鍵になってくるコンテンツですが、詳しい中身を知っている人は少ないかもしれません。 果たして、「スポーツテック」とはいったい何なのでしょうか。 本コラムでは、「スポーツテック」の謎に迫っていきます。

1.スポーツテックとは

まず初めにスポーツテックとは何か、ご紹介します。

スポーツテック(Sports-Tech)とは、「Sports」と「Technology」とを融合した造語であり、スポーツ産業に対して、最新のテクノロジーを組み合わせることによって今までにない新しい価値の創造・提供する製品やサービスのことを言います。

従来テクノロジーは、選手やチームによる活用がされていると思われていましたが、メディアやスポンサー、スポーツ用品のメーカーなどを含む、スポーツに関わるそれぞれの立場からの活用の可能性があると言われています。
現状において、スポーツへのハードルが高いと感じているユーザーに対して、スポーツを今までよりももっと身近に感じてもらうことの出来るツールになり得ます。

この業界は、日本では発展途上であると言われていて、株式会社野村総合研究所が2019年の時点で発表した調査データによると、2019年には310億円だったスポーツテック市場は、2025年には1,547億円まで伸びると予想されています。
2019年時点でのスポーツテック市場の内訳として、動画配信サービスが276億円、IoTを活用したスポーツ用品・サービスが34億円と報告されています。
つまり、スポーツテック市場の大半は、動画配信サービスが占めているということになります。

スポーツビジネスは、日本再興戦略の柱の1つとして政府が据えられており、2025年に15兆円市場に拡大させることが政府の具体的な目標としています。
求めているものが製品などの「モノ」からスポーツ観戦などといった「サービス」などに変容している中で、スポーツを「みる」「支える」「する」体験というのは、今後期待の高い市場と言えます。
欧米を中心に巨大なスポーツ産業マーケットの形成がされていますが、その背景にはスポーツテックがあります。
日本のスポーツ産業にとってスポーツテックは伸びしろの多い市場と言えます。

2.スポーツテックに含まれる3要素

スポーツテックを構成する要素は大きく3つに分けることが出来ます。
スポーツテックに含まれる構成要素を以下で紹介していきます。

①「みる」でスポーツ観戦の可能性を

スポーツテックの発展は、スポーツ観戦の幅を広げ、スポーツをもっと楽しく自由に「みる」ことに貢献します。
IT技術の発展により、タブレットやスマートフォンでの観戦が可能となり、どこにいてもリアルタイムでスポーツを観戦することが出来るようになりました。

また、2020年6月からプロ野球「ソフトバンクホークス」がVR技術を提供した試合観戦サービスを開始しました。
このサービスはユーザーが4つのカメラ視点を操作し試合観戦を楽しめるというサービスになっています。

他にもビデオ通話を活用したリモート観戦やスタジアムのデジタル化など、スポーツ観戦の多様性が広がり、これまでよりも手軽に情報が手に入り、興味を持ちやすい環境の整備が進んでいると言えるでしょう。

②「支える」でアスリートのさらなる成長

スポーツテックの発展はアスリートにとって、より効果的で質の高い高度な練習メニューの実現が可能となりました。
データの集計や測定、選手の個人レベルに合わせたトレーニング方法の提案、最新テクノロジーの使用したトレーニング機器や環境の整備など、アスリートを競技面から支えるテクノロジーになり得ます。

③「する」で誰もが気軽に楽しくスポーツを

スポーツテックと聞くと、アスリートが競技力向上のために活用していると考えがちですが、必ずしもそうとは限りません。
スポーツテックは、老若男女問わず、誰もが気軽に楽しくスポーツに取り組むための技術でもあります。
スポーツをすることによって健康の維持・増進を目指すことや生涯スポーツとして、多くの人にスポーツをすることのメリットや楽しみ方を伝えるツールになります。

3.具体的な事例紹介

スポーツテックのサービスには、ウェアラブルトレーニングサービスやユニバーサルスポーツなど、最先端のテクノロジーを使ったサービスが普及しています。
以下では、企業が実際に展開しているスポーツテックの事例を紹介します。

①Sports Castr

Sports Castr社がスポーツテックのひとつとして展開している、ライブストリーミングフォームです。
誰もが簡単に、スポーツ観戦をしながら実況中継を配信できるサービスとなっています。
このサービスの魅力は、試合を直接観戦している観戦者の配信を通じて、新たなサポーターの創出を目指すことが出来ると考えられています。

②Form Swim Goggles

水泳用のゴーグルにARディスプレイを内蔵することによって、アスリートのトレーニングサポートを行うサービスです。
見た目自体は普通のゴーグルと変わりませんが、片面に内蔵されたARディスプレイによって、スイム中の距離やタイムなどが表示されます。

③アスリーティックラボ

KDDIが開発したアスリートを育成するためのシステムです。
スマートフォンのカメラ機能を使用し、撮影した映像からアスリートの動きの分析を行います。
指先から全身にかけて65カ所の骨格点が抽出され、アスリートの動きをリアルタイムで分析できるという強みがあります。

このシステムを更に進化させたTECHICAL PITCHというシステムも開発されています。

この他にも数多くのスポーツテックに関わる企業が存在しています。
スポーツテック企業の役割として、スポーツとテクノロジーを掛け合わせ、より効率的かつ効果的なサービスの提供を目指すことが求めらています。

4.スポーツテックの問題点

日本で発展途上のスポーツテック市場ですが、問題点がいくつかあります。
以下で紹介します。

①コスト問題

デジタル化に特化したスタジアムや球場を設営をしようとすると、莫大なコストがかかってしまいます。
その結果、資金の有無によってチーム間のスタジアム格差が生まれてしまい、最終的には、チーム戦力にも大きな差が生まれてしまいます。
資金が少ないチームは、IT技術を低コストに抑えながら導入できるような戦略や工夫が必要となります。

②法的リスクやセキュリティ対策

ユーザーにデジタル技術を提供する場合は、「法的リスク」「セキュリティ対策」の充実が必要不可欠になります。
AIなどといったデジタルの技術を活用する場合、顧客データ、つまり個人情報を取り扱う場合がほとんどです。
万が一、個人情報が流出して悪用されてしまうと、リーグやクラブ、スタジアムへの信頼を欠き、ファンの減少へ繋がる可能性が考えられます。
そのため、サービスを提供する側は、データを活用する際に、「法的なリスク」やシステムの「セキュリティ対策」を整備する必要があります。

5.今後期待されること

世界的に注目されているスポーツテック市場ですが、日本は社会全体的にみて、「デジタル化」の移行がとても遅い傾向にあります。
捉え方を変えると、スポーツテック市場にフォーカスして取り組みを強化すれば、日本のスポーツ産業は各段に規模が大きくなるでしょう。
欧米に倣い、「スポーツビジネス×テクノロジー」に着手し、スポーツテック市場の拡大を目指すことが出来れば、日本のスポーツ業界への影響も計り知れないでしょう。

6.まとめ

いかがだったでしょうか。
要約すると、スポーツテックとは、テクノロジーを用いてスポーツをより楽しめるようにするためのサービスやシステムを指します。
ここ数年、スポーツテックの成長に合わせて世界的に急成長を続ける「eスポーツ」もスポーツの新たな形として注目されています。
スポーツ関連のお仕事に興味がある方は、スポーツテックへの関心を持ち続けることが大切になります。

当サイトでは、ほかにもスポーツビジネスに関する記事を多数掲載しています。ぜひそちらも併せてご覧ください。

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